大相撲の歴史において、これほど劇的な転落劇と世論の激変を経験した力士は他に類を見ません。横綱・日馬富士から暴行を受けた被害者として社会現象の中心に立ちながら、わずか1年後には自らが付け人へ暴行を働き、電撃引退に追い込まれた元幕内・貴ノ岩。角界を揺るがした一連の騒動から歳月が流れた今、彼はどこで、どのような日々を送っているのでしょうか。
相撲界を去った後、日本を離れて母国モンゴルへ帰国した貴ノ岩。一時は消息が途絶えがちだったものの、実業家としての活動や新たな生活基盤の構築など、第二の人生を着実に歩んでいます。激動の土俵人生の全経緯と、2026年を迎えた彼の知られざる現在地に迫ります。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:貴ノ岩は現在、母国モンゴルのウランバートルを拠点に実業家として貿易やビジネスを展開している
- 要点2:日馬富士暴行事件の被害者から一転、付け人への暴力問題で自ら引退を申し出るという激動の経緯を辿った
- 要点3:師匠・貴乃花との師弟関係やすれ違い、断髪式の舞台裏を経て、現在は相撲界と距離を置き家族と穏やかに暮らす
【2026年最新】貴ノ岩の現在は?モンゴル帰国後の仕事と知られざる私生活
大相撲界を去った貴ノ岩(本名:アディヤ・バーサンドルジ)は、日本での生活に区切りをつけ、母国モンゴルの首都ウランバートルへ拠点を移しました。引退直後は精神的なショックと世間からの激しいバッシングにより表舞台から姿を消していましたが、現在は現役時代の蓄えや日本で築いた人脈を生かし、実業家として新たなキャリアを確立しています。
具体的な仕事としては、モンゴル国内における不動産関連ビジネスや、日本との輸出入に関わる貿易業、さらに現地での牧場経営など手広く事業を展開。かつて土俵で見せた巨漢ぶりは鳴りを潜め、体重は大幅にシェイプアップされ、スーツを着こなすビジネスマンとしての風貌が定着しました。現地の知人や関係者の証言によると、「相撲界での苦い経験を乗り越え、母国で地に足をつけた生活を取り戻している」と伝えられています。
また、日本滞在時のような過熱取材から解放されたことで、精神的な落ち着きを取り戻している様子です。かつての後援者や親しい友人とは現在も連絡を取り合っており、日本への敵意や角界への恨み言を口にすることはなく、自らの過ちを深く受け止めたうえで前を向いています。
激動の経緯まとめ|日馬富士暴行事件から角界引退に至るまでの全真相
貴ノ岩という四股名が日本中の耳目を集めた発端は、2017年10月に鳥取市内の飲食店で起きた「日馬富士暴行事件」でした。モンゴル出身力士が集う懇親会の席上、スマートフォンを操作した貴ノ岩の態度に激怒した横綱・日馬富士が、平手やカラオケのリモコンで貴ノ岩の頭部を激しく殴打。貴ノ岩は頭部裂傷や髄液漏れの疑いなど重傷を負いました。
この事件は単なる力士同士の喧嘩にとどまらず、当時の師匠である貴乃花親方が日本相撲協会へ報告する前に警察へ被害届を提出したことで、協会と貴乃花親方の全面対立へと発展。ワイドショーや一般紙が連日トップニュースで報じる未曾有の事態となりました。加害者となった日馬富士は責任を取り現役引退を表明。一方の貴ノ岩は長期休場を余儀なくされ、心身ともに深い傷を負うことになります。
その後、厳しいリハビリを経て2018年3月場所で土俵へ復帰。十両優勝を果たし、同年7月場所には幕内復帰を果たすなど、土俵上で復活の狼煙を上げました。ファンからも「理不尽な暴力に耐えて土俵へ戻ってきた不屈の力士」として熱い声援が送られていたのです。
引退理由となった付け人暴行問題|被害者から加害者へ転落した痛恨の過失
しかし、劇的な復活劇からわずか数カ月後、事態は最悪の形で暗転します。2018年12月、冬巡業先の福岡県行橋市内の宿舎において、貴ノ岩が自身の付け人(弟弟子)に対して暴行を加える問題が発生したのです。
宿舎の部屋で忘れ物をした付け人に対し、言い訳をしたことに腹を立てた貴ノ岩は、顔面を平手や拳で複数回殴打。被害を受けた付け人は巡業先の関係者に被害を訴え、事件が明るみに出ました。日本相撲協会が暴力追放に大きく舵を切り、コンプライアンス遵守を徹底していた最中の出来事でした。
世間の反応は冷酷なまでに一変しました。暴力の被害者として社会的な同情を集め、暴力根絶の象徴と見なされていた本人が、全く同じ構図で後輩力士に手を上げていたという事実は、ファンと相撲関係者に強烈な失望感を与えました。相撲協会の正式な処分が下される前の12月7日、貴ノ岩は非を全面的に認め、自ら引退届を提出して受理されました。「被害者から加害者への転落」という痛恨の結末により、28歳の若さで現役生活にピリオドを打つことになったのです。
貴乃花部屋の消滅と千賀ノ浦部屋への移籍|親方との絆と断髪式の舞台裏
貴ノ岩の運命を狂わせた要因の一つに、部屋の消滅と師匠の引退に伴う環境の激変がありました。暴行事件を機に日本相撲協会との溝を深めた貴乃花親方は、2018年9月に突然の「年寄引退届」を提出。これにより名門・貴乃花部屋は消滅し、所属力士たちは千賀ノ浦部屋(現・常盤山部屋)への移籍を余儀なくされました。
父親同然に育ててくれた貴乃花親方の庇護を失い、新たな師匠のもとで環境への適応に苦しんでいた時期に、付け人への暴行問題が起きてしまったことは否めません。自責の念に駆られた貴ノ岩は、引退会見で深々と頭を下げ、「師匠(元貴乃花)に対して本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と声を詰まらせました。
2019年2月に両国国技館の大広間で行われた貴ノ岩の断髪式には、後援者や親交のあった関係者約350人が出席。しかし、そこに育ての親である元貴乃花親方の姿はありませんでした。留め鋏を入れたのは移籍先の千賀ノ浦親方(元小結・隆三杉)でした。親代わりとして深く愛されながらも、最悪の形で裏切る結果となってしまった師弟の距離感は、断髪式の静かな壇上にも色濃く影を落としていました。
白鵬との確執と土俵外の人間関係|モンゴル互助会と孤立の構図
日馬富士事件の背景として語り継がれているのが、元横綱・白鵬を中心とするモンゴル出身力士グループと貴ノ岩との微妙な関係性です。当時の酒席には白鵬や鶴竜といった最高位の力士も同席しており、白鵬が貴ノ岩に対して説教を行っていた最中に暴行が発生したとされています。
貴乃花親方は生前、所属力士に対して「土俵外で他の部屋の力士と過度につるむな」という厳格な指導方針を徹底していました。いわゆる「モンゴル互助会」的な慣習に距離を置き、土俵での真剣勝負にこだわり抜く親方の教えを忠実に守ろうとした貴ノ岩は、モンゴル勢のコミュニティの中で浮いた存在になっていたという見方もあります。
酒席での「俺たちの時代」といった発言が先輩横綱たちの逆鱗に触れたと報じられたように、同郷の上下関係と相撲道との間で板挟みになっていたことは確かです。白鵬をはじめとする当時のトップ力士たちとの確執は、単なる個人間の感情にとどまらず、閉鎖的な角界文化の歪みが生んだ悲劇的な側面を持っています。
貴ノ岩の結婚事情と家族構成|第二の人生を支えるパートナーの存在
現役時代の貴ノ岩は独身を通しており、女性問題などのスキャンダルとは無縁のストイックな相撲生活を送っていました。しかし、角界引退後に母国モンゴルへ戻って以降のプライベートについては、現地で温かな家庭を築いていることが伝えられています。
帰国後、貴ノ岩は一般のモンゴル人女性と結婚し、私生活での安定を得ました。日本での騒動による精神的な後遺症や孤独感に苛まれていた時期を支えてくれたのが、現在のパートナーとその家族でした。公の場に家族を露出させることは避けているものの、ウランバートルでの穏やかな暮らしの中で、父親としての責任を果たしながら日々のビジネスに打ち込んでいます。
若くして両親を亡くし、相撲界で「親」と慕った師匠とも袂を分かつことになった貴ノ岩にとって、自らの家族を持てたことは人生の大きな救いとなっています。
【貴ノ岩】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:貴ノ岩は現在、相撲界や日本のメディアと関わりがありますか?
A1:現在、日本相撲協会や日本の大手メディアとの公的な接点はほぼありません。母国モンゴルで一般の実業家として暮らしており、角界復帰や日本の芸能界進出といった動きはなく、一般人として静かに生活しています。
Q2:貴ノ岩と元師匠・貴乃花光司氏の現在の関係はどうなっていますか?
A2:断髪式への不参加以降、公に2人が対面したという確証のある情報はありません。元貴乃花氏側も引退後の貴ノ岩について言及することは極めて稀ですが、関係者の間では「恩を仇で返した悔恨」と「育てた弟子への複雑な情」が残ったまま、一定の距離が保たれていると見られています。
Q3:日馬富士との示談や和解は成立したのでしょうか?
A3:事件後、貴ノ岩側は日馬富士に対して損害賠償を求める民事訴訟を起こしましたが、母国モンゴルで家族への激しいバッシングが起きたことなどを理由に、貴ノ岩自身が訴訟を取り下げました。その後、直接的な交流はありませんが、双方がそれぞれのセカンドキャリアを歩んでいます。
まとめ:波乱の半生を経て掴んだモンゴルでの再出発
暴力事件の最大の被害者として世論の同情と英雄視を一身に集めながら、自らも同じ暴力によってすべてを失った貴ノ岩。彼の相撲人生は、大相撲の抱える閉鎖性、伝統的な体質、そして人間の弱さが招いた現代の縮図のような軌跡でした。
しかし、一度落ちた奈落から逃げることなく引退を選び、母国で実業家として再起を果たした現在の姿は、彼が自分自身の足で人生をやり直している証拠でもあります。過去の過ちを消し去ることはできませんが、2026年を迎えた今、モンゴルの地で静かに積み重ねる日々の営みこそが、彼にとっての贖罪であり、新たな矜持となっているはずです。 (出典: 貴 ノ 岩(Yahoo!ニュース))