日本テレビ系列で生放送された女芸人No.1決定戦「THE W 2023」は、過去最多となる863組のエントリーの中から、結成10年目の実力派コンビ・紅しょうがが見事に7代目女王の座を勝ち取りました。5度目の決勝進出にして悲願の初タイトルを手にした彼女たちの涙は、多くの視聴者の胸を打ち、賞レースの歴史に深く刻まれる名場面となりました。
しかし、その華々しい栄冠の裏側では、最終決戦における審査員の票割れや、生放送特有のアクシデントに伴う国民投票の中止など、前代未聞のドラマが交錯していました。本稿では、当時の取材データや公式記録、審査員たちの証言を徹底再検証し、紅しょうがが勝ち切った真因と大会の全貌を克明にレポートします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:7代目王者は紅しょうが(4票獲得)。エルフ(2票)、スパイク(0票)を破り悲願の優勝。
- 要点2:最終決戦では機材の音声トラブルが発生し、公平性を保つため国民投票が急遽中止に。
- 要点3:エルフの緻密なエモーショナルコントに対し、紅しょうがの「圧倒的な笑いの爆発力」が決着打となった。
【大会結果速報】THE W 2023優勝は紅しょうが!最終決戦の採点と順位
2023年12月9日に開催された第7回大会のファイナルステージは、各ブロックを勝ち上がったスパイク(Aブロック勝者)、紅しょうが(Bブロック勝者)、エルフ(Cブロック勝者)という、吉本興業所属の実力派3組による激突となりました。
本来であればプロ審査員6名に加え、データ放送を通じた視聴者投票「国民投票」の1票を含む計7票で争われる予定でした。しかし、最終決戦の1組目・スパイクのネタ中に音声の送出トラブルが発生したことを受け、番組側は競技の公平性を期すため国民投票の集計を緊急中止とする異例の判断を下しました。結果としてスタジオの審査員6名のみによる厳正な投票が行われ、緊張感が極限に達する中で開票が進行しました。
最終決戦の得票結果は以下の通りです。
- 紅しょうが:4票(塚地武雅、田中卓志、哲夫、川島明)
- エルフ:2票(友近、野田クリスタル)
- スパイク:0票
この結果、4票を獲得した紅しょうがが第7代女王に君臨。2023年4月に拠点を大阪から東京へ移し、背水の陣で挑んだ勝負の年を見事に最高の形で締めくくりました。
紅しょうが優勝の決定的理由|エルフと審査員の票が割れた背景を徹底解剖
最終決戦における最大の焦点は、なぜ審査員の評価が「紅しょうが」と「エルフ」の間で二分され、最終的に紅しょうがへ軍配が上がったのかという点にあります。この分岐点を読み解く鍵は、「共感を誘うストーリーテリング」と「劇場を掌握する笑いの爆発力」の対立にありました。
エルフが披露したのは、荒川のキャラクターを巧みに活かしつつ、女性の切ない恋愛心理を等身大に描いたコンビニが舞台のドラマ性の高いコントでした。野田クリスタルや友近がエルフに投じた理由は、単なるギャグの連打にとどまらず、人物描写の深さと哀愁を帯びた新感覚の構成力を高く評価したためです。客席を惹き込む空気感と演技力は、賞レースの決勝にふさわしい完成度を誇っていました。
一方、3番手に登場した紅しょうがは、「居酒屋で友人に訳ありの男を紹介する」という、徹底して人間の滑稽さを突き詰めた王道コントをぶつけました。熊元プロレスが放つ圧倒的な声量と予測不能なボケ、それを受け止める稲田美紀の的確かつ温度感のあるツッコミが、会場全体の空気を瞬時に変えたのです。
川島明や田中卓志が審査講評で触れた通り、紅しょうがの勝因は「4分間の中で最も大きな笑いの山場を何度も作り出した手数の多さと推進力」でした。エルフのコントが文学的・叙情的な余韻を残したのに対し、紅しょうがは審査員の理屈を吹き飛ばすほどの純粋な爆笑を劇場にもたらしました。賞レースという過酷な審査現場において、「笑いの絶対量」で押し切った地肩の強さが、最終的に4票を引き寄せる決定打となったのです。
【全ブロック完全網羅】決勝進出者12組のネタ順と激闘スコア詳細
過去最多エントリーを記録した本大会は、ファーストラウンドからハイレベルな勝ち残り戦(ノックアウト方式)が繰り広げられました。ブレイク真っ只中だったやす子の順位争いや、休産から復帰した酒寄希望を迎えて初の「4人体制」で挑んだぼる塾の登場など、見どころの尽きない展開となりました。
以下は、決勝ファーストラウンドから最終決戦に至る全12組の対戦結果とネタ順、詳細データをまとめた一覧表です。
| ブロック | ネタ順・対戦カード | 勝敗・得票スコア | 編集部の見解・分析 |
|---|---|---|---|
| Aブロック | ①まいあんつ vs ②はるかぜに告ぐ | 3 - 4(勝:はるかぜに告ぐ) | 芸歴1年目の新星・はるかぜに告ぐが堂々たるテンポの漫才で逃げ切り。 |
| はるかぜに告ぐ vs ③スパイク | 2 - 5(勝:スパイク) | スパイクが磨き抜かれたシチュエーションコントで舞台経験の差を見せつける。 | |
| スパイク vs ④やす子 | 4 - 3(勝:スパイク) | やす子の勢いあるフリップネタに対し、スパイクが1票差の激戦を制して決勝進出。 | |
| Bブロック | ①ハイツ友の会 vs ②紅しょうが | 0 - 7(勝:紅しょうが) | パンツにスカートが挟まった女性を巡る紅しょうがのコントが満票で圧勝。 |
| 紅しょうが vs ③変ホ長調 | 7 - 0(勝:紅しょうが) | アマチュア界のレジェンド・変ホ長調の毒舌漫才を退け、2連続満票を獲得。 | |
| 紅しょうが vs ④梵天 | 6 - 1(勝:紅しょうが) | 実姉妹コンビ・梵天のパワフルな漫才をも圧倒し、紅しょうがが完全制覇で最終決戦へ。 | |
| Cブロック | ①ゆりやんレトリィバァ vs ②あぁ〜しらき | 3 - 4(勝:あぁ〜しらき) | 初代女王ゆりやんの狂気コントを、あぁ〜しらきの純度100%の不条理芸が破る波乱。 |
| あぁ〜しらき vs ③ぼる塾 | 1 - 6(勝:ぼる塾) | 酒寄復帰で初のカルテット編成となったぼる塾が、巧みな会話劇でしらきを退ける。 | |
| ぼる塾 vs ④エルフ | 0 - 7(勝:エルフ) | エルフが情感豊かなコントで審査員全員の票を奪い、満票で最終決戦の切符を奪取。 | |
| 最終決戦 | ①スパイク ②エルフ ③紅しょうが | スパイク:0票 エルフ:2票 紅しょうが:4票 | 音声トラブルによる国民投票中止の混乱下、笑いの手数を積み重ねた紅しょうがが優勝。 |
特にBブロックにおいて、紅しょうがが叩き出した「7-0、7-0、6-1」という合計20票の獲得劇は、大会史上稀に見る圧倒的な勝ち上がり方であり、ファーストラウンドの段階で彼女たちの仕上がりは頭一つ抜けていました。
【実態検証】ネットの反応と現場のリアル|視聴者の熱狂と物議の真相
生放送終了直後から、X(旧Twitter)などのSNSや大手掲示板では「紅しょうが」がトレンド1位を独走し、多くの称賛と議論が飛び交いました。ネット上の反響を多角的に分析すると、ファンや視聴者が受け止めたリアルな温度感が見えてきます。
第一に、紅しょうがの優勝に対する祝福の声です。「5回も決勝に出て泥臭く負け続け、東京に出てきて掴んだ優勝はドラマすぎる」「熊元プロレスのキャラクターだけでなく、稲田のツッコミの巧さが全国にバレて嬉しい」といった、下積み時代を知るファンからの温かいコメントがタイムラインを埋め尽くしました。
一方で、生放送中の機材トラブルに対する批判と困惑も大きく広がりました。最終決戦の冒頭、スパイクの音声に乱れが生じたシーンに対しては、「賞レースの晴れ舞台で機材不良は演者が不憫すぎる」「国民投票を楽しみにしていたのに中止になったのは残念」といった技術面への苦言が噴出しました。しかし同時に、「機材トラブルという異様な緊張感の中、3番手で何事もなかったかのように爆笑を起こした紅しょうがの胆力は本物」と、トラブルが結果的に王者の実力を証明したという見解も多く見られました。
また、準優勝となったエルフに対しても「荒川の演技力が芸人の域を超えていた」「エルフのコントで普通に泣きそうになった」と高い評価が寄せられ、単なるバラエティタレントの枠に収まらないクリエイターとしての評価を確立する契機となりました。
【歴代王者比較】THE W歴代優勝者一覧から読み解く女性芸人の地殻変動
「THE W」は2017年の第1回開催以降、女性芸人の芸風やネタのトレンドの変遷を如実に映し出す鏡となってきました。過去の歴代チャンピオンと本大会の紅しょうがを比較することで、女性芸人を巡るシーンの変化が浮き彫りになります。
- 第1代(2017年):ゆりやんレトリィバァ(唯一無二のナンセンスと強烈な個性)
- 第2代(2018年):阿佐ヶ谷姉妹(圧倒的な好感度と円熟したおばさんネタの完成形)
- 第3代(2019年):3時のヒロイン(海外ドラマ風コントと秀逸なポップカルチャーの融合)
- 第4代(2020年):吉住(毒気と狂気を孕んだ緻密な一人コントの極致)
- 第5代(2021年):オダウエダ(シュールレアリスムと予測不能な不条理劇)
- 第6代(2022年):天才ピアニスト(圧倒的な演技力と日常を鋭く切り取るシチュエーションコント)
- 第7代(2023年):紅しょうが(女性の生態をポジティブなエネルギーと豪快なパワーへ昇華させた王道漫才・コント)
初期の大会では「女性特有の自虐」や「容姿いじり」に依存したネタが一定数存在していましたが、吉住や天才ピアニスト、そして紅しょうがへと至る系譜において、そうしたステレオタイプは完全に過去のものとなりました。
紅しょうがのネタは、女性の赤裸々な悩みや日常のハプニングを扱いながらも、決して自虐に逃げず、どこまでも自分たちを肯定する「逞しさ」に満ちています。この芸風のシフトこそが、多くの現代視聴者の共感と支持を集める最大の要因となっています。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|見逃し配信と大会の裏側
大会終了後、ネット上で囁かれたいくつかの疑問や誤認について、客観的な事実に基づいて検証します。
よくある誤解の一つが、「音声トラブルがなければスパイクが勝っていたのではないか」という言説です。確かに機材の不調が出ばなをくじいた面は否めませんが、スパイクのネタ自体はしっかりと成立しており、審査員陣もそのハンディキャップを重々考慮した上でネタ自体の構造やウケの総量を評価していました。スパイク自身も後にラジオ等で「機材のせいで負けたわけではない、紅しょうがのウケが凄すぎた」と潔く振り返っており、不当な判定があったわけではありません。
また、見逃し配信の視聴環境に関する問い合わせも多く寄せられました。例年、「THE W」は生放送直後からTVerで無料見逃し配信が行われ、Huluでは過去のアーカイブを含めた完全版が配信される仕組みが定着しています。権利関係(ネタ中の音楽使用など)によって一部音声が差し替えられるケースはあるものの、紅しょうがが起こした会場全体の熱狂や、エルフの渾身のコントは配信プラットフォームを通じて大会後も長く追体験されています。
【プロの結論】賞レースにおける「共感」と「爆発力」の境界線
お笑い評論の観点から「THE W 2023」を総括すると、現代の賞レースが直面する「共感性の高いシチュエーション劇」と「破壊的な笑いの爆発力」のバランス問題に明確な答えを出した大会だったと言えます。
エルフが提示した「日常の機微や切なさに寄り添う共感型コント」は、単独ライブや演劇的な文脈においては極めて高い完成度を誇ります。しかし、4分間という限られた制限時間の中で審査員に爪痕を残さなければならない賞レースの舞台では、最終的に「泥臭い生命力と圧倒的な声量で会場をねじ伏せた」紅しょうがのプリミティブなパワーが勝りました。
これは、どちらの芸が優れているかという優劣の問題ではなく、「賞レースという極限の競技環境において、何を武器に戦うか」という戦略の差です。計算された知性派コントを、天性の人間力と劇場仕込みの技術で突破した紅しょうがの勝利は、お笑いが本来持つ根源的なエネルギーの尊さを証明したと言えるでしょう。
【the w 2023】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:THE W 2023の優勝特典は何でしたか?
A1:優勝賞金1,000万円に加え、日本テレビ系の人気番組への多数の出演権(「日テレ系情報・バラエティ番組冠レギュラー権」等)が贈呈されました。紅しょうがはこの優勝を機にキー局への露出を爆発的に増やしました。
Q2:なぜ最終決戦で国民投票(dボタン投票)が中止になったのですか?
A2:最終決戦の1組目であったスパイクのネタ披露中、マイクや音声送出ラインに不具合が発生し、テレビ視聴者側へ正常な音声が届かない時間帯がありました。視聴者が公平な条件でネタを審査・鑑賞できない状態となったため、運営側の判断により急遽国民投票の採用を取りやめ、スタジオのプロ審査員6名のみによる採点へ変更されました。
Q3:紅しょうがが最終決戦で披露したネタはどのような内容でしたか?
A3:居酒屋を舞台にしたコントで、稲田が演じる友人に対し、熊元プロレスが「男を紹介する」と言って怪しげで愛嬌のある男性を連れてくるというシチュエーションでした。熊元プロレスの独特なビジュアルと迫真の演技、稲田のテンポ良いツッコミが炸裂しました。
Q4:やす子の最終順位はどうなりましたか?
A4:やす子はAブロックの4番手として登場し、スパイクと対戦しました。審査員投票の結果は「3対4」の1票差で惜しくも敗退となり、ブロック敗退(ファーストラウンド敗退)という結果に終わりました。
まとめ:紅しょうがが切り拓いた新時代と大会が残した教訓
女芸人No.1決定戦「THE W 2023」は、紅しょうがの圧倒的な実力と執念が結実した歴史的一戦となりました。東京移籍初年度というプレッシャーを跳ね除け、持ち前の泥臭いパワーで頂点を掴み取った彼女たちの姿は、賞レースの枠を超えて多くの人々に勇気を与えました。
一方で、音声トラブルによる国民投票の中止という運営面の課題を残したことも事実です。しかし、そうしたアクシデントをも笑いの力でねじ伏せ、現場を熱狂させた出場者たちの高いプロ意識こそが、大会の真の価値を守り抜きました。「自虐」の時代を完全に脱し、自らの個性と技術で真正面から笑いを取りに行く現代の女性芸人たち。紅しょうがの戴冠によって、シーンは名実ともに新たな黄金期へと突入しました。 (出典: the w 2023(Yahoo!ニュース))