玄孫 と は、自分から数えて4代目の直系卑属、すなわち「ひ孫の子」を指す血族の呼称だ。日常会話のなかでこの言葉を口にする機会は滅多にない。しかし、超高齢社会が定着した日本において、自分の一生の中でひ孫どころかその子どもに出会う光景は、もはやおとぎ話の奇跡ではなくなった。
系図調査やルーツ探求への関心が高まりを見せるなか、そもそも玄孫 と はどのような法的位置づけにあるのか、疑問を抱く人が急増している。明治天皇の末裔として知られる作家の竹田恒泰氏のような歴史的血脈の話題にとどまらず、一般の家庭でも世代をまたぐ資産承継や戸籍の確認作業を通じて、突如としてこの言葉に直面するケースが増えているのだ。
玄孫とは?読み方や何親等かを最新の親族法・民法に基づき徹底解説
漢字の並びを見て即座に正しく読める人は案外少ない。「やしゃご」あるいは音読みで「げんそん」と読む。「やしゃご」という響きの由来は、曾孫(ひ孫)よりもさらに遠い孫を意味する「弥孫(いやひこ・いやまご)」が転じたものとされている。「玄」という文字には「奥深い」「遥か遠い」という意味が込められており、世代が遥か彼方まで連なった血筋を象徴している。
法律上の位置づけはどうだろうか。日本の親族法・民法において、親族の距離感は「親等(しんとう)」という単位で厳密に定められている。数え方は極めてシンプルだ。世代を一つ経るごとに数字が1ずつ増える。自分から見て子は一親等、孫は二親等、曾孫は三親等。したがって、玄孫は「四親等」の直系卑属に該当する。
民法第725条は、親族の定義を「六親等内の血族」「配偶者」「三親等内の姻族」と定めている。四親等である玄孫は、法律上も完全に正真正銘の「親族」の枠組みの内側に存在する。
竹田恒泰氏ら著名人の系図で知る「玄孫」の重みと歴史のロマン
日本で「玄孫」という言葉がメディアを賑わすとき、しばしば引き合いに出されるのが政治評論家の竹田恒泰氏だ。明治天皇の玄孫にあたる同氏の系譜は、皇室の歴史と近現代史の結節点を語るうえで頻繁に注目を集めてきた。
歴史上の教科書に登場する偉大な人物も、4世代という物差しで見直すと、驚くほど身近に感じられる。曾祖父母の親、すなわち高祖父母(こうそふぼ)が残した日記や写真が、現存する玄孫の手元に保管されている例は珍しくない。家系図を縦に辿る作業は、遠い過去の出来事を生身の人間の物語へと引き戻す力を持っている。
NHKプラスやNetflixが火をつけたルーツ探求と「ファミリーヒストリー」熱
近年、自らのルーツを辿るドキュメンタリー番組への関心が異様なほどの高まりを見せている。著名人の家族史を徹底的な戸籍・公文書調査で掘り起こすNHKの『ファミリーヒストリー』は、放送のたびにSNSでトレンド入りを果たし、見逃し配信のNHKプラスでも屈指の再生数を誇る。
一方、Netflixなどのグローバル配信プラットフォームでも、DNA解析や国際的な公文書追跡を駆使した家系ドキュメンタリーが世界的な支持を集めている。スクリーン越しに他人の劇的な家族の歴史を見せつけられた視聴者が、「では、我が家の系図はどうなっているのか」と自問し始めるのは必然の流れだった。曾孫や玄孫へと続く自らのファミリーツリーを可視化したいという衝動が、世代を超えて静かに広がっている。
代襲相続で権利は届くのか?意外と知らない直系卑属の法意
感情的なロマンの一方で、極めてシビアな現実が横たわるのが財産承継の領域だ。もし被相続人(亡くなった人)の子、孫、曾孫が全員先に他界していた場合、四親等である玄孫に遺産を相続する権利は巡ってくるのだろうか。
答えは「YES」だ。現行の法制度において、代襲相続のルールは直系卑属に対して極めて寛容に作られている。
民法第887条の規定により、被相続人の子どもが先に死亡している場合は孫が、孫も死亡している場合は曾孫が代襲して相続人となる。そして、曾孫すらも先に旅立っていた場合、代襲相続の権利は玄孫へと無制限に下へと降りていく。甥や姪の代襲相続が一世代限りで打ち切られるのとは対照的だ。法務省の解釈においても、直系卑属の血脈が続く限り、何代隔てていようとも相続権は消滅しない。
家系図の落とし穴と戸籍の壁に挑む最新の相続・法務サービス
法的な権利が存在するとはいえ、実際に玄孫の代で遺産分割や家系証明を行おうとすると、分厚い壁が立ちはだかる。戸籍の解読難易度だ。
明治・大正期に作られた旧民法下の「戸主」を中心とする戸籍は、現在の様式とまったく異なる。旧字体や変体仮名、さらには筆記用具の墨のかすれ。旧家制度特有の家督相続や養子縁組、さらには戦前の私生児認知などが複雑に絡み合い、素人が正確に読み解くのは至難の業だ。
全国の自治体窓口で他地域の戸籍謄本が一括取得できる広域交付制度が法務省主導で定着したものの、窓口での発行トラブルや古い除籍簿の廃棄問題といった落とし穴は依然として残る。こうした背景から、行政書士や司法書士が主導する民間の「相続・法務サービス」を活用し、数世代にわたる家系図の完全復元や権利関係の精査を依頼するケースが標準的な選択肢となりつつある。
超長寿社会が突きつける親族関係のリアリティと未来図
100歳以上の高齢者が全国で9万人を突破した現代日本。親、子、孫、曾孫、そして玄孫という「五世代同堂」の家族が同じ食卓を囲む場面は、もはや空想ではない。
しかし、世代の距離が離れれば離れるほど、日常的な情緒的つながりは希薄になりやすい。年に一度も顔を合わせない玄孫が、法的には直系卑属として絶大な相続権を保持しているというギャップ。これは家族観の多様化が進む社会において、新たな火種にもなり得る。
玄孫という存在を正しく知ることは、単なる言葉の勉強にとどまらない。それは、自分がどこから来て、誰に自らの歴史や生きた証を手渡していくのかという、個人の根源的なアイデンティティと向き合う行為そのものなのだ。 (出典: 玄孫 と は(Yahoo!ニュース))